生前対策

ご本人が存命中の財産管理を優先した生前対策

生前対策の最大の目的は、ご自身が築き上げた財産を、最期までご自身の意思で使い、守り抜くことにあります。当事務所では、「死後」の分け方以上に「存命中の管理」に重点を置いた対策をご提案しています。名古屋・多治見の2拠点で40年以上、相続の紛争そのものを扱ってきたからこそ、どこで争いが起きるのかを踏まえた設計ができます。

存命中の財産管理を最優先に考えます

多くのご相談を受けてきた中で私たちが強く感じるのは、遺言書を書いた後、ご本人が認知症などで判断能力を失った際に起きるトラブルです。金融機関が口座の取引を制限し、介護費用や施設入居費の捻出すら困難になる、自宅を売却して費用に充てたくても売れない、といった事態が実際に起きています。私たちは遺言書の作成と並行して、今すぐ、そして将来にわたって財産管理をどう安定させるかを検討し、適した手続をご提案します。

遺言・家族信託・後見はどう使い分けるのか

生前対策の手段は一つではありません。それぞれ効果が及ぶ時期と範囲が異なるため、多くの場合は組み合わせて使います。まずは全体像をご確認ください。

項目 遺言書 家族信託 任意後見
効力が生じる時期 亡くなった後 契約したとき(存命中) 判断能力が低下した後
認知症による資産凍結を防げるか 防げない 防げる 一部防げる(本人保護が優先)
不動産の売却・組替え 不可(存命中は効力なし) 受託者の判断で可能 任意後見人が行える(任意後見監督人の監督あり)
二次相続以降の指定 不可 可能(受益者連続型) 不可
身上保護(介護・入院手続) 対象外 対象外 対応できる
ランニングコスト かからない 受託者への報酬を定めた場合のみ 後見人・監督人への報酬が継続

上の表のとおり、遺言書だけでは「亡くなるまでの期間」に何の効力もありません。認知症への備えとしては、家族信託または任意後見を併用する必要があります。どの組み合わせが適切かは、財産の内容(不動産・自社株・預貯金の割合)、ご家族の関係、ご本人の判断能力の状態によって変わります。

遺言書作成

形式的な書類ではなく、法的な有効性とご家族への想いを両立させた遺言書を作成します。遺言執行者への就任もお引き受けしますので、遺言の内容を実現するところまで対応できます。

公正証書遺言をおすすめしています

公証役場で作成する公正証書遺言は、方式の不備で無効になるリスクがほとんどなく、原本が公証役場に保管されるため紛失・改ざんの心配もありません。家庭裁判所の検認手続も不要で、相続開始後すぐに預金の払戻しや不動産の名義変更に着手できます。当事務所が公証役場との調整、証人の手配まで対応します。

なお、自筆証書遺言についても、2020年7月に始まった法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、検認が不要になり紛失も防げます。費用を抑えたい場合はこちらもご案内します。

将来のトラブルを未然に防ぐ表現にします

遺言書の文言は、後に争いが起きたときに一字一句が争点になります。「相続させる」と「遺贈する」の使い分け、財産の特定方法、予備的条項(受遺者が先に亡くなった場合の定め)、遺留分への配慮、そして付言事項によるご本人の意思の説明まで、将来の不和を予測して、争いの余地を残さない文言を組み立てます。

遺言能力を争われないための備え

高齢のご本人が遺言を作成する場合、後日「作成時に判断能力がなかった」と争われることがあります。作成時期の診断書や長谷川式スケール等の記録を残す、公証人・証人の関与を得るなど、後の紛争を見据えた証拠を残しておくことが有効です。

家族信託(民事信託)

「認知症になっても自宅を売却して施設費用を作りたい」「信頼できる子に管理を任せたい」「自分の死後は妻に、妻の死後は長男に承継させたい」といった、遺言や後見では実現が難しいニーズに応えるのが家族信託です。財産の管理権限を、ご本人が元気なうちに受託者(多くはお子様)へ移すことで、判断能力が低下した後も資産凍結を避け、ご家族が滞りなく財産を動かせる仕組みを、オーダーメイドで設計します。

当事務所には、民事信託士の資格を保有する弁護士(纐纈将貴)が在籍しています。信託契約書の作成だけでなく、信託口口座の開設に向けた金融機関との調整、信託登記に関する司法書士との連携、税務上の影響についての税理士との連携まで、実行まで見届ける体制でお手伝いします。

家族信託が向いているケース

  • 自宅や賃貸物件などの不動産をお持ちで、将来の売却・建替え・大規模修繕の可能性がある
  • アパート経営をしており、判断能力が低下しても賃貸借契約や修繕の判断を止めたくない
  • 自社株を保有しており、議決権の行使を後継者に委ねたい
  • 二次相続まで承継先を指定しておきたい(受益者連続型信託)
  • 障がいのあるお子様のために、長期にわたる財産管理の仕組みを残したい

成年後見(任意後見・法定後見)

任意後見や法定後見を活用し、ご本人の権利を守ります。不当な契約や消費者被害から財産を守るだけでなく、身上保護(生活・療養看護に関する事務)も含めた包括的な支えとなります。

判断能力があるうちに、ご自身が信頼する人を後見人に指定しておくのが任意後見契約です。すでに判断能力が低下している場合は、家庭裁判所に法定後見(後見・保佐・補助)を申し立てます。当事務所は、申立ての代理のほか、弁護士自身が後見人・任意後見受任者に就任することも可能です。

生前対策の費用の目安

法律相談料は30分5,500円(税込)です。遺言書作成、家族信託の設計、任意後見契約の各費用は、財産の内容と規模、必要な調整の範囲によって異なります。初回のご相談で、必要な手続と費用の総額の見込みをお伝えしたうえで、お見積りをご提示します。公証役場の手数料、法務局の保管申請手数料、信託登記の費用などは別途申し受けます。

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よくあるご質問

Q まだ元気ですが、生前対策は早すぎませんか。

A 早すぎることはありません。遺言も家族信託も任意後見も、判断能力があるうちにしか行えない手続です。判断能力が低下してからでは、法定後見しか選択肢が残らず、自宅の売却などに家庭裁判所の許可が必要になるなど、できることが大きく制限されます。

Q 家族信託と成年後見は、どちらを選べばよいですか。

A 目的が異なります。家族信託は「財産を積極的に動かす(売却・運用・組替え)」ことに向いており、成年後見は「本人の財産を守り、生活と療養看護を支える」ことに向いています。不動産の売却や賃貸経営の継続が想定されるなら家族信託、身上保護や取引被害からの保護が主目的なら後見が適します。両方を併用することもよくあります。

Q 遺言書を書けば、家族信託は不要ですか。

A いいえ。遺言書の効力は亡くなった後にしか生じません。ご本人が存命中に判断能力を失った場合、遺言書は何の役にも立ちません。存命中の財産管理を確保するには、家族信託または任意後見が必要です。

Q 相続人の一人にだけ多く残したい。可能ですか。

A 遺言によって取得割合を指定することは可能です。ただし、兄弟姉妹以外の法定相続人には遺留分があるため、遺留分を侵害する内容にすると、後日、遺留分侵害額請求を受けるおそれがあります。生前贈与、生命保険の活用、代償金の準備など、遺留分に配慮した設計を併せてご提案します。

Q 銀行や信託銀行のサービスとは何が違いますか。

A 当事務所は、実際に相続紛争を扱っている弁護士が設計します。どのような文言が後に争われ、どのような設計が裁判で維持されるのかを踏まえた助言ができる点、そして紛争が起きた場合にそのまま代理人として対応できる点が異なります。

生前対策のご相談は、名古屋・多治見の当事務所へ

ご相談は予約制です。お電話(名古屋オフィス 052-971-3998/多治見オフィス 0572-56-8712、平日9:00〜18:00)またはお問い合わせフォームからご予約ください。財産の一覧(不動産の登記事項証明書、通帳、保険証券など)と、ご家族の関係が分かるメモをお持ちいただくと、初回から具体的なご提案ができます。

遠方にお住まいの方や、県外にお住まいの相続人がいらっしゃる場合には、Microsoft TeamsまたはZoomによるオンライン相談も承っています。

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